エダシャク
チョウ(鱗翅)目 シャクガ科 エダシャク亜科

エダシャク(枝尺)は、シャクガの一種で、多くは広葉樹の葉を食べる。「枝」は幼虫が樹木の枝などに擬態することに
由来し、「尺」は尺取虫を意味するという。

尺取虫はイモムシの一種だが、イモムシが胸部に3対の脚を持ち腹部に5対のいぼ脚があるのに対し、シャクガ科
では腹部のいぼ脚が退化して2対しかない。前脚(胸部の3対)と後脚(腹部の2対)は離れているため歩き方は独特
である。まず胸部の脚を離し、体を真っすぐに伸ばして前方に脚をつく。次に腹部のいぼ脚を離し、胸部の脚の位置
までひきつけて体を逆U字型にする。これを繰り返すことにより前進する。この姿、歩くというよりは、長さを測っている
ように見えるため「尺取虫」という名がついたのだという。

また、樹木の枝などに擬態する姿もユニークで面白い。これも、胸部と腹部のいぼ脚を上手に使って折れた枝や
枝の重なりなどを演じる。すなわち、後ろのいぼ脚で体を支え、全身を真っすぐに伸ばして、枝らしい角度で静止
するのである。また、↓のトビモンオオエダシャクのように、頭部の角をサクラの新芽に似せて、主枝から分枝した
枝になりきるのである。そして、形だけではなく、体色も保護色にして、模様の入り方まで樹木の枝に似せて枝に
なりきって外敵から身を護るのである。

トビモンオオエダシャク
Biston robustus robustus

幼虫は体長が70〜90ミリ(終齢の場合)で、4〜9月に現れ、サクラ、リンゴ、ナシなどのバラ科やブナ科、カエデ科
ツバキ科などの樹木の葉を食べて成長する。幼虫期が長く、数ヶ月かけて成熟するという。頭部に1対の角状
突起がある。体色は枝に擬態するため、茶色、褐色、灰色など変異がある。昼間は枝に擬態し、じっとしていること
が多い。晩夏〜初秋に土に潜ってさなぎになり、越冬する。

成虫は、翌年の3〜5月に現れ、よく灯火に飛来する。翅を開いたときの大きさは50〜80ミリで、体色は灰色や
茶褐色が多く、黒っぽい波状のまだら模様がある。ただ、成虫は木の幹にカムフラージュするため、色や斑紋は
変異があるという。そして、翅の色や模様を幹の肌にとけ込ませるため、縦や斜めにとまるという。

体長65ミリのトビモンオオエダシャクの幼虫が
サクラの木で小枝に擬態していた。色、模様、太さ
は枝そのもの、屋根に糞が落ちていなかったら
その存在には全く気が付かなかった。また、頭部
には角状の突起があるが、これがサクラの芽と
そっくりである。ただ、正面から見ると芽というより
猫の顔に見えて可愛らしい。

体に触れても脚を少し動かす程度で姿勢を崩さず
じっとしている。筆者には既に見破られているのに
恐ろしいほどの執念でサクラの枝になりきっている。

発見してから2週間ほどは、位置がかわるだけで
同じ格好だった。周りの葉が食われて減っていて
下に糞も落ちている。おそらく、外敵に見つかり
難い夜間に葉を食べているのだろう。

2007.9.24〜10.7

エダシャクの一種

サクランボの葉柄にいたエダシャクの幼虫の一種。体長は22ミリ。

幼虫図鑑というサイトで調べてもらったが顔は特徴的だが名前は分からないとのことだった。

2007.8.25
サクランボの葉にいたエダシャクの幼虫の一種。体長は60ミリ。

筆者の見立てではハスオビエダシャクに似ているが自信がない。幼虫図鑑というサイトで
調べてもらったところ、ハスオビエダシャクは北海道で確認された記録がないとの見解
だった。まゆを抱いているように見え、体色が白っぽくしわが多いのはコマユバチの一種に
寄生されたためだろうとのこと。

2007.8.12