インクラの滝
(いんくらのたき)

撮影場所か、それとも
崩落した土砂の影響か
→よりも低く見える?

2003.9.11
←には、左上の大きく
せり出した岩盤が
見られない。

2000.7.15

展望台からインクラの滝までの遊歩道は、9月11日現在、立入禁止であった。
滝周囲の岩盤の崩落が激しいためだろう。
筆者は、自己責任で敢えて立ち入った。
写真集などと比べると分かるが、滝に向かって左側の落ち口付近にせり出すように
へばりついていた岩盤は崩落した。滝壷の周囲にはその残骸が散乱している。
また、写真には写っていないが、左右の崖も崩れている。特に、左岸(滝に向かって右側)の
崩壊が激しく、以前あった遊歩道は埋まって跡形もない。このため、西別々川左岸に
つけられていた遊歩道は廃道になり、右岸に新しい道がつけられている。しかし、この道は
整備したというよりは、立入禁止処置にもかかわらず、頻繁に訪れる滝愛好者によって
踏み固められたように見える。従って、迷路になっているところや、巨大な岩石を
乗り越えたり、すり抜けたりしなければならない個所が多数ある。
さらに、9月26日に平成15年十勝沖地震が発生し、その後も余震が続いている。
苫小牧市の出光興産の石油タンクが2度にわたって炎上する事故があったのは記憶に
新しいが、インクラの滝はその現場から直線で約25kmである。
地震後はさらに危険な状態になっていると考えられ、立ち入らない方がよいだろう。

所在地 北海道白老郡白老町字社台 駐車場・トイレ ・駐車場がある
・トイレはあるが、施錠されていることもある
分類 直瀑 落差 44m
概要・感想 インクラの滝は、樽前山(1041m)を源とする西別々川にかかる。落ち水は別々川に合流し、社台で太平洋にそそぐ。滝は昭和初期までは別々の滝と呼ばれていたが、木材を運ぶインクラインがあったことからインクラの滝と呼ばれるようになったという。近くの苫小牧、白老には大きな製紙工場があり、昔はこの一帯の木材が紙の原料として使われていた。

インクラの滝がある樽前山周辺の地盤は、この地域特有の溶結凝灰岩(いわゆる軟石)でできている。軟石は、品質のよいものは、かつて建築材などに使われたが、多くは風化や侵食に弱いようだ。以前に訪ねた時は、滝落ち口左側に大きな岩盤がせり出していたが、今は崩落して滝下部にその残骸が散乱している。インクラの滝は、長い時間をかけて断崖絶壁を崩しながら上流に向け徐々に後退しているように見える。この滝独特の景観は、美しさよりも大地の息吹を感じ、不気味ですらある。それが魅力で訪れる人が絶えないのであろう。
行き方1(駐車場起点) 距離・所要時間 1km,徒歩30分 道順・足場・ヒグマ情報など ・長靴、熊避けの鈴など、身支度を整え駐車場を出る。
・今来た道を、さらに50mほど奥に入ると、道路脇に展望やぐらがあり、上ると遠くにインクラの滝が望める。展望やぐらの脇に滝入口があり、滝までは約1km(約30分)である。階段を下りると、西別々川の右岸にでる。前半の15分は川沿いの草いきれのするなかを進む。後半の15分は苔むした大岩や迷路と格闘しながら進む。汗をたっぷりかいた頃、目の前に要塞のような絶壁が立ちはだかる。そこに糸をひくように滝水が落ちている。
・雨のあとなどは道が荒れている。
・夏は湿気が多く、相当汗をかく。
・蚊やブヨ(ブユ)が多いので、防虫スプレーがあると便利だ。
・一帯はヒグマの生息域である。熊避けの鈴などは必携である。
地図 ・山岳地図 ATTACK 札幌・支笏周辺の山 発行:北海道地図 1997年9月初版 縮尺:1/25,000
・スーパーマップル 1 北海道道路地図 発行:昭文社 2002年4月
行き方2(出発地から最寄の駐車場まで) 起点 白老町社台 国道36号線社台中央交差点 距離・所要時間 10km、約15分
標識・看板 国道36号線に「インクラの滝」の標識がある。
インクラの滝へは、国道36号線沿いの社台ファームを目標に行くとよい。社台中央という交差点(信号あり)を山側折れると、JR室蘭本線の踏切を渡る。社台牧場を見送り、道なりに進むと道央自動車道にぶつかり、右にカーブして苫小牧方面に道央自動車道と平行に走る。やがてT字路が現れる。左折して道央自動車道をくぐる。ここからは別々川沿いの二股線(砂利道)を上流に向けさかのぼる。快適な砂利道を砂煙をあげながら進むと、右側に数十台は停められる駐車場が現れる。国道から駐車場までは10kmだが、国道や分岐に標識がある。また、二股線には駐車場までの残り距離が1km毎に表示されている。
特記事項など ・駐車場脇にトイレがあるが、立入禁止処置の影響なのか、訪れた時は施錠されていた。
・溶結凝灰岩(いわゆる軟石):火山が爆発し、火砕流が高速で麓に流れだす。やがて火砕流は止まるが、しばらくは高熱が保たれる。この時に、火山灰に含まれるガラス質が高温と加重圧力で圧縮、溶結する。その産物を溶結凝灰岩という。かつては、建築材や墓石などに利用された。札幌周辺に石切山・石山という地名が多いが、溶結凝灰岩の採石場や産地をそう呼んだという。これに対し、周囲の岩を押し退けて貫入したマグマを硬石(デイサイト)といい、道路の敷石やコンクリートの基礎材として使われ、札幌市南区の硬石山(かたいしやま)などでは、現在も採掘が続けられている。